アンティークの静けさ

路地裏のショーケースの中には静かな人形が一体。
その光沢ある瞳には物憂げな青い雨が映っていました。
人形は自分が人間に変身して傘を差して歩く想像をしました。
傘は雨粒でリズムを奏で、長靴は路上に波紋を広げてチャプチャプ。
普段通行人が嫌がっているのが見える水溜りの存在さえも人形にはとても楽しいものに思えました。
漂ってくる紅茶の良い香りはオーナーの休憩時間であることを知らせます。
人形は特段愛に満ちた華やかな生活をしているわけでもないのですが
背中で微かに感じるオーナーの温かな気配、それからゆったり流れるこの静かな時間を大変気に入っていました。
時折人形は窓ガラスにぼんやりと映る自分の顔を見て
微笑んではいるものの生気がなくて不気味だと気にしていたりもするようです。

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