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無口な雲

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今日は曇り空。
曇りの日には世界が呼吸していないかのような特有の静けさを感じます。
霧の草原を駆ける不安げな動物の群れを遠くから眺めていたい気分です。

もしも仮面を被らずとも気の合う友人が出来た時は
この世界にある様々な景色を見て何を感じるかを共有したいです。
肉体で動き回るのには色々と面倒ごとも多いので、意識だけ浮遊する半透明の者でもいいのかもしれません。

香りも一種の芸術作品であることを認識しました。
最近の科学技術の進歩はこうも韋駄天ですから
想像上の香りを生み出し、ネット上で人々と共有出来るようになる日もそう遠くはないのかも知れませんね。

曇りの日であっても鳥たちは特に普段とは何も違わないというような顔をして
自分がやりたいことを淡々とこなしています。
なんとなく勇気付けられる光景でもありました。

危機や恐怖や不安など負の方面として分類されがちな感情にもそれ特有の匂いか美しさというものがあって
それを味わう為に自らの身を運ぶような変なこともしたくなります。

一つの景色を見てその場所の過去、未来の風景までを感じ取れるようになればどれだけ面白いでしょうか。




「無口な世界とクク」

ククが外に出ると部屋の煤けたガラス越しに見ていた世界と大して変わらぬ程の暗さでした。
そのことについて、ククは特に何も感じませんでした。
草むらのわき道を通るとき、いつもと違って虫や鳥の気配がないことにククは気が付きました。
この地の終わりが近いのをいち早く察した動物たちが、人の寝てる間にどこか遠くへと大移動してしまったという想像をしました。
そのことについて、ククは特に何も感じませんでした。
ククは古めの民家が立ち並ぶ一帯を歩いていました。
暗い空の下では不気味に目立つカラフルな洗濯物のみを、残して人々の姿は全く見当たりませんでした。
そのことについて、ククは特に何も感じませんでした。
風が吹いて、コンクリートに突き刺さった広告旗が揺られていました。
辺りがしんと静まり返る中で「お得」という楽しげな文字が目立っていました。
そのことについて、ククは特に何も感じませんでした。
ククは特に目的もなく一通り外を彷徨った後、コツコツとコンクリートを鳴らしておきまりの帰路に乗りました。
暗い部屋に帰りつく為に同じく暗い空の下を行くのです。
家のドアを開けると、ククは拒否も歓迎もせぬ無表情な玄関で靴を脱ぎました。
木の階段を微かに鳴らして自室にたどり着くと、ククはまず、いつもの癖でベッドに腰かけました。
しばらくそのまま部屋の壁に視線を預けていたククは
この世界に残された時間はあとほんの1時間ほどしかないことに気が付いてしまいました。
そのことについて、ククは特に何も感じませんでした。

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