桜の頃

桜の頃になりました。虫たちはそろそろ目覚め、冬に澄まされた空気の中を舞っています。
桜並木の道は、地に落ちた無数の花びら達によって彩られており、それらが人に踏まれて一層燻り
仄かに甘く清涼な香質が、乾いた鼻腔を癒してくれました。
遠い林からは鶯の声が漏れて、春の実感は波のように押し寄せてきます。
冬のまま止まっていた私の意識の方もようやく、雪解けを得たようで
少しずつ、少しずつ明瞭になってゆきました。